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令和元年度(第69回)税理士試験の結果をまとめてみた
令和元年12月13日、令和元年度(第69回)税理士試験の結果が国税庁より発表されました。
合格された皆様、本当におめでとうございます!
また、今年は惜しくも合格とはならなかった皆様も、来年は良い結果をつかめるよう祈念しております。
さて、この記事では令和元年度(第69回)税理士試験の結果をざっくりまとめてみました。
今年度の税理士試験はどのような傾向にあったのか、早速見ていきましょう!
※各一覧表はPCなら横スクロール、スマホなら表を指でなぞってもらったら横にスクロールしますので、そちらでご確認下さい。
受験申込者数・受験者数・合格者数・合格率を分析
まず、今年度の受験申込者数・受験者数・合格者数・合格率を見てみましょう。
- 受験申込者数 36,701人
- 受験者数 29,779人
- 合格者数 5,388人
- 官報合格者数 749人
- 合格率 18.1%
では、これを直近10年の数字と見比べた場合どうなのかを見てみましょう。
年度 | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
平成22年 | 62,996人 | 51,468人 | 8,453人 | 16.4% |
平成23年 | 59,975人 | 49,510人 | 9,067人 | 18.3% |
平成24年 | 58,453人 | 48,123人 | 10,068人 | 20.9% |
平成25年 | 55,332人 | 45,337人 | 8,348人 | 18.4% |
平成26年 | 49,876人 | 41,031人 | 6,909人 | 16.8% |
平成27年 | 47,145人 | 38,175人 | 6,902人 | 18.1% |
平成28年 | 44,044人 | 35,589人 | 5,638人 | 15.8% |
平成29年 | 41,242人 | 32,974人 | 6,634人 | 20.1% |
平成30年 | 38,525人 | 30,850人 | 4,716人 | 15.3% |
令和元年 | 36,701人 | 29,779人 | 5,388人 | 18.1% |
パッと見てまず目を引くのが前年度から合格者数が700人弱増加しているところでしょう。
まぁ過去10年を見ても昨年度の試験結果は最低レベルでしたので、合格率を見てみても正常な数字に戻ったといった感じでしょう。
相変わらず受験申込者数、受験者数は右肩下がりのままですが、減少人数は少し落ち着いてきていますので、しばらくはこのくらいの人数水準になるのではないでしょうか。
学歴別結果を分析
次に、学歴別の結果を見てみましょう。
まずは昨年度の学歴別結果です。
学歴区分 | 受験者数 | 合格者数 | 一部科目合格者数 | 合格者合計 | 合格率 |
大学卒 | 23,240人 | 535人 | 2,874人 | 3,409人 | 14.7% |
大学在学中 | 966人 | 1人 | 206人 | 207人 | 21.4% |
短大・旧専卒 | 906人 | 16人 | 71人 | 87人 | 9.6% |
専門学校卒 | 2,906人 | 66人 | 374人 | 440人 | 15.1% |
高校・旧中卒 | 2,381人 | 46人 | 381人 | 427人 | 17.9% |
その他 | 451人 | 8人 | 138人 | 146人 | 32.4% |
では、今年度はどうでしょうか。
学歴区分 | 受験者数 | 合格者数 | 一部科目合格者数 | 合格者合計 | 合格率 |
大学卒 | 22,393人 | 563人 | 3,300人 | 3,863人 | 17.3% |
大学在学中 | 1,019人 | 4人 | 331人 | 335人 | 32.9% |
短大・旧専卒 | 841人 | 23人 | 77人 | 100人 | 11.9% |
専門学校卒 | 2,824人 | 95人 | 355人 | 450人 | 15.9% |
高校・旧中卒 | 2,282人 | 51人 | 429人 | 480人 | 21.0% |
その他 | 420人 | 13人 | 147人 | 160人 | 38.1% |
こちらは相変わらず大卒の受験者がかなりの割合を占めるという前年とよく似た結果になっております。
学歴の項目で見てみても、どの区分も軒並前年よりも合格率が上がっていますね。
特に、一部科目合格者数が大半を占めているとはいえ、大学在学中の方の合格率が10%以上上がっているというのは、日本の将来に向けても非常に明るい傾向だと言えるでしょう。
年齢別結果を分析
お次は年齢別の結果を見てみましょう。
まずは昨年度の年齢別結果です。
年齢 | 受験者数 | 合格者数 | 一部科目合格者数 | 合格者合計 | 合格率 |
41歳以上 | 11,309人 | 247人 | 882人 | 1,129人 | 10.0% |
36~40歳 | 5,268人 | 142人 | 612人 | 754人 | 14.3% |
31~35歳 | 5,716人 | 133人 | 829人 | 962人 | 16.8% |
26~30歳 | 4,900人 | 99人 | 786人 | 885人 | 18.1% |
25歳以下 | 3,657人 | 51人 | 935人 | 986人 | 27.0% |
では、今年度はどうでしょうか。
年齢 | 受験者数 | 合格者数 | 一部科目合格者数 | 合格者合計 | 合格率 |
41歳以上 | 11,318人 | 268人 | 1,032人 | 1,300人 | 11.5% |
36~40歳 | 4,997人 | 148人 | 661人 | 809人 | 16.2% |
31~35歳 | 5,360人 | 158人 | 899人 | 1,057人 | 19.7% |
26~30歳 | 4,398人 | 112人 | 898人 | 1,010人 | 23.0% |
25歳以下 | 3,706人 | 63人 | 1,149人 | 1,212人 | 32.7% |
年齢別に見てみると、受験者数は41歳以上が多いという毎年の傾向でした。
また、これも毎年言える事ですが、それに反して合格率は年齢が若くなるに連れてドンドン上がっていくという結果となっております。
41歳以上と25歳以下を比べた場合、受験者数としては半数以下にも関わらず合格者の合計は大差がないというところまできていました。
やはり、記憶力も高い若いうちにしっかり勉強しておくことが重要であるということがこの結果からも読み解けますね。
科目別合格者・合格率を分析
最後に、科目別の合格者、合格率を分析してみましょう。
こちらは昨年度(平成30年度)の税理士試験科目別結果表です。
科目 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
簿記論 | 11,941人 | 1,770人 | 14.8% |
財務諸表論 | 8,817人 | 1,179人 | 13.4% |
所得税 | 1,704人 | 209人 | 12.3% |
法人税法 | 4,681人 | 542人 | 11.6% |
相続税法 | 3,089人 | 363人 | 11.8% |
消費税法 | 7,859人 | 833人 | 10.6% |
酒税法 | 546人 | 70人 | 12.8% |
国税徴収法 | 1,703人 | 182人 | 10.7% |
住民税 | 460人 | 62人 | 13.5% |
事業税 | 418人 | 46人 | 11.0% |
固定資産税 | 845人 | 126人 | 14.9% |
合計(延人員) | 42,063人 | 5,382人 | 12.8% |
お次に、今年度(令和元年度)の試験結果を科目別で見てみましょう。
科目 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
簿記論 | 11,784人 | 2,052人 | 17.4% |
財務諸表論 | 9,268人 | 1,753人 | 18.9% |
所得税 | 1,659人 | 212人 | 12.8% |
法人税法 | 4,260人 | 627人 | 14.7% |
相続税法 | 2,897人 | 338人 | 11.7% |
消費税法 | 7,451人 | 884人 | 11.9% |
酒税法 | 492人 | 61人 | 12.4% |
国税徴収法 | 1,677人 | 213人 | 12.7% |
住民税 | 410人 | 78人 | 19.0% |
事業税 | 392人 | 58人 | 14.8% |
固定資産税 | 868人 | 119人 | 13.7% |
合計(延人員) | 41,158人 | 6,395人 | 15.5% |
ここで特筆すべきは、住民税の合格率の高さでしょう。
近年では住民税の合格率は他の科目と大差のない結果(13%前後)となっておりましたが、元々は合格しやすい穴場科目として知られていました。
今後も同じように住民税が高い合格率をはじき出すかは分かりませんが、今年から少しその傾向が出てきだしているという事は頭の片隅に置いておいて損はないでしょう。
まとめ
令和元年度(第69回)税理士試験結果をまとめると、合格難易度は比較的低い回であったといえるかと思います。
前年度がかなりひどい数字でしたので、そのあたりは試験を作成する側もある程度考慮してくれた部分はあるかもしれませんね(笑)
申込者数、受験者数は相変わらず減っていく一方ですが、これは「税理士の人気(需要)が落ちてきた」と悲観するよりも、「ライバルが減って合格する可能性が上がってきている!」と前向きに捉えた方がいいでしょう。
AIの発達で税理士という仕事がなくなるのではないかと言われていますが、完全に無くなるということはないと思います。
競争が今まで以上に激しくなっていくのは否めませんが、その競争から脱落していっているのがこの受験者数にも現れてきているのではないかと思っています。
ですので、今から税理士になろうと志されている方は受験者数の減少などで不安を感じるのではなく、むしろチャンスだと思って頑張っていただければと思います!