※本ページはPR(広告)が含まれています
税理士とは?何が出来る資格なのか掘り下げて解説します!
税理士は「弁護士」や「公認会計士」とともに人気のある士業の1つであり、テレビドラマや漫画の題材になったり駅や街中で税理士事務所の看板広告等を見かける機会もあると思いますので、「税理士=税務の専門家」と漠然とイメージできる方が多いのではないでしょうか?
これはこれでイメージ通りで間違ってはいないのですが、「では実際どのような業務をしているのか?」と聞かれたら、答えに詰まる方は意外と多いのではないかと思います。
そこでこの記事では、
- 税理士とは具体的にどのような職業なのか?
- 資格があればどのようなことができるの?
- 社会における役割は?
といった事について解説していきますので、一緒に見ていきましょう。
記事の目次
税金のプロである税理士の役割とは?
税理士の役割としては、納税者(主に個人事業主や中小企業)の依頼に応じて必要な書類を準備して税務書類を作成したり、税務上の指導や助言を行うことが挙げられます。
依頼者が収める税金の負担を軽くするためにアドバイスをしたり、国や地方自治体へ税金が円滑に納税されるように促します。
納税が適正に行われるように働きかけることは税理士が担う社会における大きな役割であり、最大のやり甲斐といっても過言ではないでしょう。
皆さんご存知の通り、日本国民には「納税義務」があります。
国に納める税金には、所得税・法人税・相続税・贈与税・消費税・事業税・固定資産税等の多様な種類があり、申告の仕方も種類によってそれぞれ異なります。
現在の日本の納税システムは、国へ納める税金については納税者自らが税務署へ申告を行うことにより納付税額を確定させ(自主申告)納税者が自ら納付する(自主納付)という「申告納税制度」です。
簡単にまとめると、「自分で必要な税務書類を作成して自分で税務署に申告しないといけない」ということなのです。
こうして自分で完結させる必要があるにも関わらず、税法は非常に複雑で更に毎年改正されるという、なんとも納税者泣かせの法律です。
必要な書類を揃えたり申告書を作成するためにはもちろん税務の専門知識が必要になってきますので、実際に納税者が最初から最後まですべて自分で行うとなると莫大な労力と時間を費やすであろう困難を伴う作業です。
そこで「税金」に関するさまざまなサポートを行い、税務のプロとしてサポート、コンサルティングするのが税理士の役割というわけです。
税理士だけが行える3つの独占業務がある
税理士は原則的に税務に関する独占業務を許された唯一の存在です。
独占業務とはその資格を保持している者しか行う事ができない業務のことをいい、税理士の場合は以下の3つの業務が独占業務として挙げられます。
- 税務代理
- 税務書類の作成
- 税務相談
税理士法52条では、「税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行ってはならない。」とあります。
つまり、上記の税に関する3つの業務は有償であろうが無償であろうとも、税理士のみに許されている業務なのです。
税理士資格を持たない人が税理士の独占業務を行った場合には、たとえ気が付かなかったとしも罪に問われるので注意が必要です
それでは、3つの業務をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
税務代理
納税者に代わり、以下の業務を行うことを税務代理といいます。
税理士は税務代理を行う場合に税理士証票を携帯し、税務調査立会いや税務官公署の職員と面接する際にはこれを呈示しなければならないことになっています。
申告の代行 |
法人税や所得税、住民税、事業税等の申告を代行します。 |
申請の代行 |
納税猶予の申請、所得税の予定納税額の減額承認申請等を代行します。 |
請求の代行 |
税金を納め過ぎた場合に更正を請求することや、差押えの変更を求める差押換請求等を代行します。 |
不服申し立ての代行 |
税務署の決定に対して不服がある場合、例えば税務調査や処分に対する主張等を代行することです。不服申し立てには所轄税務署に対する異議申し立てと、その異議申し立ての決定に対し納得がいかない場合に申し立てる国税不服審判所への審査請求があります。また、さらにその審査請求の裁決に対しても不服であった場合には税務訴訟となります。2002年の改正税理士法により、税務内容に限り税理士が補佐人として出廷し陳述する権利が付与されました。税務訴訟の補佐人制度と呼ばれるものです。 |
税務調査の立ち合い |
税法の解釈をめぐって税務署の担当官と議論をする業務です。この場面がテレビドラマの山場として描かれることが多く、税理士業務として一番イメージしやすい仕事です。 |
税務書類の作成
税務書類の作成とは、個人事業主や企業などのニーズに応じて税務署等に提出する書類(税務書類)を納税者に代わって作成できるということです。
また、税務署等に提出する場合はその書類に署名押印をしなければなりません。
税理士法2条①二では、「税務官公署に対する申告書等の書類のほか、租税に関する法令の規定に基づき作成し、かつ、税務官公署に提出する書類(電磁記録も含む)で、財務省令で定めるもの」とあり、税務書類と定められているのが以下の書類です。
- 申告書
- 申請書
- 請求書
- 不服申立書
- 届出書
- 報告書
- 申出書
- 申立書
- 計算書
- 明細書
- その他これらに準ずる書類
例として以下のような書類が該当します。
- 法人税・消費税・地方税の確定申告書
- 所得税・消費税の確定申告書
- 償却資産税申告書
- 相続税の申告書
- 青色申告の承認申請書等
さらにここで述べている税務書類の作成とは、依頼者の提出資料に基づき租税法にしたがって専門家としての精査、判断を加えて作成することであって、他人の作成したものの転記等単なる代書は書類作成には当たらない(基通2-5)とされています。
税務相談
税理士法2条①三では、「税務官公署に対する申告等、第一号に規定する主張・陳述又は申告書等の作成に関し、租税の課税標準等の計算に関する事項について相談に応ずること」とあります。
税務相談とは、所得金額や税額の計算、税法上の処理、相続、贈与など、納税者自身の税に関する相談に応じてアドバイスをする業務です。
さらに細かく言うと、ここでいう「相談に応ずる」とは相談を受けて意見を述べたり教示したりすることであるが、その内容は相談者(納税者)の個別具体的な納税義務に係わるものであって、単に仮定の事例に基づいた計算や一般的な税法の解釈などは税理士業務としての税務相談には該当しないとあります。
例えば、「相談内容が具体的な事例であっても、学校等の教材であれば税理士業務とはいえず、同じ内容でも個人の案件であれば税理士業務に該当する」ということです。
会計のプロとしての付随業務
上記では税理士の独占業務はどういったものかという事について解説してきましたが、もちろん独占業務以外にも税理士が行う重要な仕事はたくさんあります。
代表的な業務をいくつか挙げてみましょう。
会計業務
企業や個人の各種申告に必要な書類の作成や、それに至るまでの準備を行います。
以下のようなものがそれにあたります。
- 試算表や決算書等の財務書類の作成
- 伝票整理・仕訳帳・総勘定元帳・補助元帳等の会計帳簿類の記帳代行
- その他の財務事務(給料計算、源泉所得税納付書作成、資金繰表の作成等)
- 年末調整・法定調書等
会社相手の場合は企業側でおおまかな処理は行い、最後の仕上げを税理士が行うといったケースも多いですが、個人相手となると丸々税理士に任せるというパターンも多いので、どの業務もそつなくこなせるだけの知識を備えておく必要があります。
コンサルティング業務
会計業務で作成した決算書をもとに数値を分析し、節税対策や資金繰りなどのアドバイスを行います。
昨今クラウド会計やAIの台頭によって記帳や決算書類の作成が簡単になっており、会計業務における事務作業は減少すると言われています。
しかし、AIが発達して単純業務がなくなったとしても経営者の悩みは減らないもの。
税理士は税制改正、融資、助成金、中小企業の施策など、企業経営に必要な情報をいち早く知ることができ、さらにクライアント企業の財政状態や業績を一番理解して、懐を知りつくしています。
税務のプロである税理士には、事務作業よりも企業の経営戦略や銀行から融資を受ける相談等の税務だけでない包括的な経営のアドバイスを求めるというニーズが高まってきています。
最近では、他の事務所との差別化を図るためにAI等をうまく業務に取り入れて、コンサルティングに力をいれる税理士事務所も増えています。
その他の税理士業務
会計業務やコンサルティング業務以外にも様々な仕事があり、ざっと挙げてみるだけでもこれだけの業務を行うことがあります。
- 金融機関との折衝
- 国際税務
- 租税訴訟の補佐人
- 組織再編
- 事業承継
- M&Aコンサルティング
- 会計参与
- 創業支援に伴う資金調達支援
- 保険代理店業務
- 雑誌等への執筆・書籍の出版
- 講演・セミナー
このように、従来の業務に加えて時代の流れとともに活躍の場は多種多様に広がってきています。
中には「え?そんなことまでするの?」という内容の仕事もあったのではないでしょうか。
もちろんメインとなる独占業務は大切な仕事ですが、こういったその他の業務も会計のプロとしては非常に大切な仕事であるといえます。
まとめ
この記事では税理士の仕事内容をまとめてみましたが、業務はとても広範囲にわたるものであるということがお分かりいただけたのではないでしょうか?
税理士は納税者の申告作業の負担を減らすだけでなく、時代の流れや様々な環境の変化によって困難に直面する企業を税務・会計という側面から最大限にサポートすることにより、クライアント企業のビジネスパートナーとして経営を支え、企業を存続させる役割があるのです。
さらに税理士が納税者をサポートすることは確実な納税につながり、この国の根底である税金制度を支えています。
病院での医療や介護、警察や消防などにも税金が使われており、国は税金によって様々な制度を運用することができるのです。
このように、税理士が社会的に果たす役割はとても重要ですので、税理士は非常に魅力のある仕事といえるでしょう。